7つの質問

冨樫孝男さんに聞いた3つの質問

冨樫孝男さんに聞いた3つの質問

冨樫孝男

Q1. 今回のweb展にご出品の「トランプ皿」というネーミングが斬新だったのですがその由来を教えて頂けますか?

正式な製品名と、工房で呼んでいるニックネームがございます。
例えば、「細口杯」という正式な商品名も物を工房では「ショットグラス」と呼んだり「四分一塗り」の事は「月面」と呼んだり、、、、

たまにギャラリーさんへの出品リストを間違えて工房呼び名で記載するハプニングもございます。
今回のトランプ皿は、おそらく漆風のネーミングでいくと「縁錫地黒角皿」といった感じになると思います。
元々のイメージが、トランプのようなイメージのお皿にしたい、、、 12のクイーンや13のキングをイメージするよう制作し工房呼び名がそのまま商品名になってしまった珍しい例です。

ご回答ご丁寧にありがとうございます。 トランプ皿にはそう言った由来があったのですね。12のクイーンや13のキングをイメージされていたのですね。
朱がクィーンで黒がキング。このお話を聞いたらトランプ皿がなんだかそんな風に見えてきました笑
工房名はなんだか特別感があっていいですね。裏メニューみたいな感じで今度私も「四分一塗り」のことを「月面」って呼んでしまいそうです^^

Q2. 今回のweb展で出品されたものの中で 最も思い入れのあるお品はどちらになりますか?

八角リム皿と西洋皿です。 私は個展も行いますし、グループ展も今まで沢山やってきました。 また、焼き物作家さんやガラス作家さんの展示も拝見したりしておりました。
漆製品がずらっとならんだ展示の様を見て、ずっと気になって気になって仕方ない商品が漆の「お皿」でした。

「どうして漆のお皿は、漆のお皿って感じになってしまうのだろう、、、」
私の物、他の漆の作り手の物、やはり「漆の皿」という感じなんです。 展示の最中そればかり考えておりました。
焼き物とガラスと何が違うんだろう.......と。

漆は木の特性上、口径が大きなお皿になればなるほど、縁厚がボッテリしてきます。 更に中心にいけばいくほど、さらに厚くゴツくなっていきます。
これは木材の変形防止で、理由があってその厚みですので仕方ない事ではあるのですが、 「軽やかさ」が漆のお皿に無いのでは、、、と感じました。

どうにかして、軽やかなお皿を作りたい。 そう考えて作ったのがリム皿と西洋皿になります。
持った感じも、ゴツくなく、変形もないように制作いたしました。

とても貴重なお話を聞かせてくださってありがとうございます。
「漆のお皿はどうして漆の皿って感じになってしまうんだろう」という一文が印象に残りました。

冨樫さんはどうしてこんなにも器用で(陳腐な表現ですみません...)高い技術をお持ちでいらっしゃるのだろう、、と不思議だったのですが そのナゾが解けた気になりました。

その*探究心*こそが不可能を可能に変えていたのですね! 少し前にリリースした新作西洋皿は、全ての壁をクリアされてびっくりするくらい軽いし使い勝手も良さそうなデザインです。
冨樫さんの塗りのセンスは言わずもがなですが 造形美への探究心に益々脱帽ですね。

冨樫孝男


Q3. 工房のお弟子さんたちを連れて毎年慰安旅行されていると聞きましたが、これまでにどのような場所へ行かれましたか? 

国内ですと、青森の三内丸山遺跡をみたり、輪島塗りを視察したり、姫路城、北海道など。
海外ですと、台湾、中国本土、ドイツ、オーストリア、チェコです。
私も修行中、師匠に国内、海外と色々な所に連れて行ってもらい、沢山の事を教えていただきました。 それがすごく仕事や今作ってる物の元になってる気がします。

自分も弟子達に同じ様にしてあげれたら......と思い、慰安旅行をはじめました。
この状況が落ち着けば、国内なら京都、海外なら東南アジアの遺跡などを見れたらと考えております。

わぁ、すごいですね! 皆さんで国内も海外もあちこち行かれてて素敵な親方ですね。

やはり"遺跡"など歴史のあるものから何かインスピレーションを感じ取ってご自身の作風にフィーチャーされているのですね。ヨーロッパがお好きとおっしゃる理由が分かりました。
コロナに入ってからずっとご旅行に行けてないと思いますが。
来年こそは遂行できるといいですね。(私もついてきた~い~)


以上、冨樫さんご回答ありがとうございました。

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