7つの質問
大野香織さんに聞いた7つの質問
大野香織さんに聞いた7つの質問
Q1. ご出身はどちらですか?
生まれは兵庫県神戸市です。その後、大阪に2年、また兵庫に戻って大学卒業するまで関西に住んでいました。
∴関西長いのに全然関西弁が出ないのが不思議(笑)
もう少し補足しますと、茨城在住なのはご両親のご出身地だったからとのことです。
福岡ご出身のご主人佳典さんも陶芸作家さん。 ご主人は白磁の作品を作られています。
@ohno.yoshinori.ceramics
ご自宅にはお二人の立派な工房があり、香織さんは毎日ではないけれど陶芸教室もされています。
お庭にはすばらしい菜園があり、いつも新鮮なお野菜が食卓にあがります。 んな羨ましすぎる環境に大野家があります。
お二人のセンス溢れるおしゃれなお宅には何度も足を運びたくなります。
Q2. プロの陶芸家になるためにどのような努力をされましたか?
諦めなかったこと、だと思います。
商社のOLを経て30歳で陶芸の世界に入りました。窯業指導所(現笠間陶芸大学校)終了後すぐに結婚して出産しました。
美大系でもない、スタートも遅い、子育てしながらで時間もないけど、諦めず、細々でもいいから手を動かし続けようと決めて続けていたら、こうなっていたという感じです。
∴うんうん。と頷きながら読ませていただきました。自分にも重なる部分があって。
きっと小さい頃からアートにはご興味があったのだと思います。
しかしあの時代はOLになれば安泰だと言われていましたから。スタートは遅くてもその選択は間違いではなかったと思います。
通常ならば「この道でいいのか」と藻掻いて脱線する人もいるのに、いつのまにか、好きなことをコツコツしていたら、こんなに素敵なアーティストになっていただなんて!
素敵すぎるし最高にカッコイイ!
Q3. 今の仕事は天職だと思いますか?
天職といえるかどうかはわからないのですが作ること、食べること、盛り付けることが好きなので器作りには向いているのかなと思います。
∴器をつくるのも、料理をつくるのも、盛り付けるのもお好きだという香織さん。
工房に行ったときに「なんでもお好きだなんて凄いですね」って言ったら
「片づけるのは・・・(てんてんてん)」と言ってたのが印象的でした(笑)
無の空間から自分の感性で表現することは得意だけれど、それを無に戻したりするのは私も苦手。
きっとクリエイティブなことが好きな人にありがちだと思います(良い意味でね(^_-)-☆)+料理+盛り付けエキスパートはこの世にごまんといるけれど、香織さんはこれに+和装+茶道もできちゃう超人なのです!
和文化をここまで極めていらっしゃる陶芸家さんは希少ではないかとも(たしか着付けは自己流で教室には通わなかったって言ってたような)。和文化に熟達したライフスタイルにリスペクトの気持ちでいっぱいです!
貪欲さのないサクセスストーリー(笑)
そこが香織さんのいいところですね!!
お互いにこの業界に入って20年ということで、これからも「同期としてww」よろしくお願いします。
Q4. 陶芸家になっていなかったら、今頃どんな職業に就いていたでしょうか?
男子寮のまかないのおばちゃんとか、楽しそうだなあと思います。
誰かのために作って、美味しそうにたくさん食べてくれる姿を見るのが大好きなので。
着物も好きなので、小料理屋の女将にも憧れます。
∴わ!先日お話されていたこと本当だったんですね!! 男子寮のまかないとか
小料理屋の女将とか...私は冗談かと思ってましたけど本気だったなんて。
香織さんの母性の豊かさを感じるコメントですね。
Q5. 家庭と仕事と自分時間の比率はどんな感じですか?
子供が小さいときは、家庭70仕事30自分時間は限りなく0でしたが、今は落ち着いて、感覚的には1:1:1ですね。
質問からずれるかもしれませんが、全部100点で完璧ということではなくて、
母として30点、仕事人としても30点、1人の女として30点でも全部足して100点近くになればいいかなって思っています。
きっちり完璧は無理だし、自分なりのゆとりがないとしんどくなってしまうので…適当なところで家族に許してもらっていると思います
∴子供さんたちが小さい頃からのお付き合いなので知っていますが、あの頃もお仕事の量は今と変わらずきちんとされていましたよね。
その代わり自分時間を犠牲にして。
でも、やっと一段落ついて自身の自由時間が出来たようで何よりです。いつも陶炎際で元気なお姿を拝見していましたが、これからは東京や横浜にもちょくちょく遊びに来て欲しいです~
香織さんがフットワーク軽いの知ってますからね。もう7年くらい前に国立にお店があった頃和服姿で来てくれましたね。
近くのフレンチランチ頂いてワイン飲んで...楽しい時間でした。
帰り道に香織さん携帯電話を店に忘れて...私が追いかけてったというエピソードも(バラしちゃったよ)。
いつもアクティブに和装で動き回ってるので、皆からすごい"デキる女性"と思われてるはず。だけど
「満点じゃなくてもいいと思ってるんです」という、緩さがある女性って本当にカッコイイと思います。
自分にもゆとりがあるから他人にも多くを求めず、寛容でいられるのだと思います。
そこが香織さんの魅力の1つなんだな?としみじみ。
同じAB型で、同じ射手座故思考が似てるのかもしれない。
Q6. 新作GAIAにはどんな思い入れがありますか?
わたしが今こうして陶芸の道を歩み続けていられるのは、40歳以上年上の先輩女性陶芸家・堤綾子さんのお陰です。
残念ながら今年1月に他界されましたが、最後まで土と炎への情熱を燃やし続けた方でした。
ご自身にも弟子にも厳しかったけれど、根はお茶目で、女性らしく、とても母性のある方でした。いつも褒めて励まし続けてもらったお陰で、細々でも続けてこられたのだと思っています。
このGAIAのシリーズに使っている原土は、その恩師の先生と一緒に北茨城で掘ってきた土です。先生のお道具を分けていただいて、それを使ってもいますので、そばで見守られながら制作している気持ちになります。
子育てが一段落して、ようやく自分自身の作品として世に問うことができた最初の作品が、人生の恩師である先生と縁のあるシリーズとなり、感慨深いです。感謝と感動の気持ちを感じながら制作しています。
∴そうでしたか...GAIAにはそのようなストーリーが隠されていたのですね。私にとっても感慨深いです。
というのも、はじめて作品を拝見したときに何か強い波動を感じたからです。
堤先生から受け継いだお道具と、北茨城で一緒に掘ってきた原土で作っている作品と聞いて、益々愛おしくなりました。
大きな作品も小さな作品もエネルギーが漲っていてこんなにも陶器が"生きている"のを感じたことは無く、質感も景色も他に類を見ない逸品ばかりです。
時代とともに陶器も洗練されたものに変わってきていますが、このGAIAは流行に左右されず独自のブレない魅力のまま年月を重ねていくのでしょうね。
素朴な土味でもコテコテな感じにならない作風と料理を盛るとさらにその器の価値が上がる素晴らしき感性にもリスペクト!! たとえこの先どんな器が流行ろうとも関係ありません。私は無条件にGAIAが好き?
同じ価値観でこの良さを分かって頂ける方に愛用していただけると嬉しいですね。
Q7. 作品づくりで自身が最も”大事にしているポリシーや信念”がありましたら教えて下さい。
入れ物の先、を意識しています。
例えば、家を建てたらそれは終わりではなく新しい生活の始まりであるように、器は迎え入れてもらったら、そこから新しくストーリーを紡ぎだす。
何処へ旅立って、どう使ってもらえるかな、何を入れてもらえるのかなーと盛り付けた時を想像しながらカーブを整えたり、サイズや角度を変えてみたりして制作するのはとても楽しいです。
作業工程で大事にしていることは、大胆さと繊細さのバランス。思い切っていくところと慎重に手を動かすところを見極めて、手数をできるだけ少なくシンプルに作りたいと思っています。
SNS上で、それぞれに使われて皆さんの食卓におさまっているのを見ると、本当に幸せな気持ちになります。この場をお借りしてありがとうございますと伝えたいです!
∴作り手が作品を制作しているときは無言でその作業に集中しているのは誰でも想像がつくものですが、どんな事考えながら手を動かしているのかな?が最も知りたい部分でした。
香織さんの回答を見て「やっぱりそうだったのね」と。
器が嫁いでいくところは一体どんなオウチなのかしら?
そこではどんなお料理に盛り付けてもらえるのかな!?
そこの家庭はどんな家族がどんな食卓を囲んでいるのかな?
どんな会話が飛び交うのかな?etc
実は器屋も同じことを考えながら販売しています。
以上、大野さんご回答ありがとうございました。